「まぁ、私は放課後は毎日ここに来てるから」
そう。
私がここ、時計塔に登るのは、もうすでに習慣化している。
だから、今日来たのはシュウが昨日言った言葉があったからじゃない。
自分の習慣であり、意志だったから。
笑みを浮かべて、シュウに近寄り、彼の隣りに肘をついて、夕方の街を眺める。
鳥たちが連なって飛んでいる。
街の屋根やビルの窓に、夕陽が今日最後の煌めきを残す。
『秋は夕暮れ』
平安時代の京都からも、これほどの夕暮れを眺めることができたんだろうか。
徐々に、光が力を失ったように薄れていく。
私は何も言わず、
シュウも何も言わなかった。
二人とも、ただその光景に目を奪われていたから……。


