でもそれの何が悪いんだろうか。

どこが悪いというのだろう?



シュウが、たとえ“恋の欲目”から見たのだとしても、シュウは“そのままの私”が好きだと言ってくれる。

一番好きな人が、自分のことを好きと思ってくれている、という事実。


他に何が必要なのだろう?

それで十分ではいけないのだろうか。






「……ぇ……! ……夕枝ってば!」



歩美の声で、意識がハッと現実に戻った。

目の前には、お箸を手に持ちながら、私を覗き込んでいる歩美の姿。

少し眉根を寄せて、不思議そうに私を見ていた。



「え? 何?」


「何? じゃ、なーくーてー!」



呆れたような歩美に、申し訳なさが胸を覆う。

そんな私をチラ見して、深々と溜め息を吐いた後、歩美はヒソヒソッと囁いた。



「全く……夕枝、さっきね、色々言われてたんだよ」



……色々言われてた?

何を?