時計塔の鬼


――カツッコツッ


廊下に自分の足音が響く。

主担任の江川先生が良い先生でよかったな……。

良い上司に恵まれたことと、無事にホームルームを終えられたことにホッとして、視線を遊ばせる。



と――。



時計塔が、目に飛び込んで来た。

あそこにいるのは、私の恋人である、鬼。

シュウ。

彼は鬼なんだ。

けど、好きという感情の前には、異端だとか、種族だとか、そんなものは意味がないと思える。

シュウがあそこにいて、私がここにいること。



それだけが全てでも、構わない。

そんな考えは馬鹿らしいと笑われるかもしれないけれど、それでもいいと自分が思えることが私には大切だった。

シュウと生きる“今”が、私は大切だから。