すぐに担任の紹介が終わり、江川先生に目を向けられる。
それに頷いて、私は教壇に進み出た。
「初めまして。副担任の沖田夕枝です。一年間よろしくお願いします!」
とりあえず、元気よくあいさつから。
でもそれに返って来たのは……。
「本当に教師なのっ!? 同い年に見えるー!!」
「先生顔可愛い系だぁーっ!」
「先生彼氏いるんですかー!?」
という、コンプレックスを刺激しまくる無邪気な歓声の数々だった。
顔がひくりと強張るのを理性で必死に押し隠す。
隣りに控える主担任にはわからないように、小さく息を吐いた。
「ちゃんと教師ですっ! じゃあ、江川先生、後お願いします」
「はい。沖田先生。では皆さん、早速ですが、配布物を配ります」
笑顔をホームルームを進める江川先生を、少し尊敬した。
江川先生が喋り出すと、途端に生徒たちが落ち着いたことがすごく印象的だった。
タレ目で、ふわふわな黒髪にはもうすぐ白髪が現れてもおかしくない歳であるせいか、江川先生はのほほんとしている。
そしてその雰囲気は、場を和ませるのに一役買っていた。