シュウ。

がんばるね。



高校を卒業して以来、シュウに心の中から語りかけることは、すでに私の直しようのない、そして未だに微塵も直す気がない、癖になっていた。






――ガララッ


ドアを開けた音で、先ほどまでの喧騒が嘘のように教室内が静まり返った。

かのようにみえたが、すぐにまた、徐々に喧騒の波が戻って来る。



「みんな座ってー!!」



私の抑えた呼び掛けに、生徒たちは今度こそ、喧騒の波を引かせていった。

全員が名列の席に座ったのを確認し、主担任の江川先生に会釈をして後を任せる。

そして私はホームルームが始まったのを眺めていた。