妙な緊張感を感じて、教室の前で立ち止まった。


二年前。

初めての授業の時も、そういえばこんな妙な緊張感に襲われたものだった。

それは、新しい環境へ飛び込むことに、恐れを感じてしまうから仕方のないことなのだろうけれど、いつまでもそうはしていられない。



「すぅ……はぁ……っ」



深呼吸をしてみるものの、まだ、胸の緊張は解けてくれない。

左手のひらに“人”を書いて、飲み込んだ。

三回繰り返し再び深呼吸をしてみても、緊張の糸は緩まない。



そんな時、どうすればいいのか。

私は知っている。



「…………」



自分の左手の薬指。

シュウと未来が繋がっていそうな特別な場所。

私はそこに軽くキスを落とした。