「沖田さん」
「……坂田君、何?」
考え事を中断させられたことによって、私の声は自然と低くなった。
何かをしている時にそれを邪魔されるのはとてもうっとうしい。
というか、嫌い。
「消しゴム貸してくんない?」
そう苦笑しながら話しかけてきたのは、すぐ隣りの席の男子。
坂田 慎平。
しょっちゅう忘れ物やらなくし物やらで、人の持ち物を借りていく。
おかげで、隣りの席になってから、消しゴム二つが私のペンケースに収まっている。
面倒臭くて
『あげるから』
と言ったら、
『悪いから』
と突っ返された。
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