「ったく! 夕枝ったら、病み上がりのくせにプチ家出したらしいじゃん。大丈夫?」
朝の連絡が終わって、担任が教室から出て行った後、ストーブの近くに集まっていたのをわざわざ廊下まで引っ張り出されて、柚子第一声がそれだった。
「大丈夫大丈夫。そんなにヤワじゃないんだから」
「そういうことは本人の口から聞くのが一番信用ならないのっ!」
腰に手を当てて、プンスカ怒ってくれる柚子を見て、つい苦笑が漏れた。
それを見咎められて、また怒られる。
「大丈夫大丈夫」
「夕枝はそればっかり! 昨日の夜、おばさんから『うちの娘がお邪魔しておりませんか?』って言われて、私がどれほど焦ったと思ってるの!」