―Side Yue―…



なぜか憎めない。




学校に来た放課後は毎日、時計塔に昇る。


私にとって、それはいつものこと。


ただ、そこにシュウとおしゃべりするのが増えただけ。




シュウはなぜか憎むことができない、不思議な魅力を持っている。



彼は自分を“鬼”だと言った。




そもそも……

「鬼って、何なのよ。人間そのままじゃない」



つい、口から言葉がこぼれ落ちる。




ちなみに今は化学の授業中。



根っからの文系人間の私には無意味とも言える時間。


さっぱりわけがわからないから。




ぼやきを聞いた人は居なかったようで、ひとまず安心して、ホッと一息吐いた。




そうして、心置きなく考え事にふける。