シュウの話を聞き終わった私は、呆然とするしかなかった。


それほどまでに、衝撃的な話。


身近なひとを失くしたことのない私にとって、シュウの話はただひたすらの驚愕だった。


“さくら”さん。


その名の通り、桜のように儚く散っていった関西弁の女の子。

彼女は、シュウにシュウをあげた人。



「それからしばらくの記憶は無ぇけど……気付けばまた、寝たり起たりの特に代わり映えしない毎日を送ってた」



そこまでを悲しそうに話したシュウは、私を振り向き、はにかみ笑って言った。



「でもそれも夕枝に会うまでだったな。夕枝に会ってからは、驚いたり心配したり嬉しかったりで毎日毎日先が見えねぇ」


「よかったの?」


「いいんだ。生きてるって実感できる。それに何より、夕枝と居るのは楽しい」