「俺は着せ替え人形なんかになる気はねぇからな」 「…………」 「どれだけ睨んだって無駄だぞ」 「…………」 「無駄だからな」 「…………」 こちらも無言を返す。 沈黙が落ちた間に、風が塔に当たって悲鳴をあげるような音が聞こえた。 風は桜の樹をも激しく揺らしているようで、薄い紅色の花びらが手すりの先からふわりと舞い込んで来た。 無言が続いた中、ついに折れた。 この俺が。 非難するかのような無言の圧力と咎めるかのようなジトジトとした視線に負けたのだ。