翌日。

塔から見た桜の樹は優しい風に揺れていて、気持ちが良さそうだった。

差し込んで来た暖かい春の陽光に照らされたコンクリートからの圧するような冷たさは無い。

これが冬であったなら、これでもかという程の冷気に身体が襲われていただろうに。




――ドサッ



「何だコレ」



さくらがやって来ても花見を続行していた俺の目の前に幾つかの荷物が置かれた。

否、この場合は放り出されたの方が正しい。

よくよく見なくても一目でわかった。

よく見ているからだ。

その荷物はこの学校指定の制服一式だった。