あたしは、病院へは行かなかった。
 

行けるわけがない。


あたしのせいでこんな事になって、どんな顔をして恭平に会えばいいのかわからない。
 

それに、なんて声を掛けてあげたらいい?
 

治る見込みがないと聞かされて、あたしは一体どうしたら……。
 


今起こっている悲惨な現実とは裏腹に、世間はとても明るかった。
 

賑やかに下校する生徒の声が住宅街に響き、所々の家から笑い声も聞こえる。
 

こんなに苦しんでいるのに、世間は何一つ変わることなく平凡な時間がただ過ぎていた。