「お邪魔してもいいですか?」 あたしは一言そう言うと、大ちゃんの返事も聞かずに靴を脱いだ。 大ちゃんの体をすり抜けて廊下に上がろうとした、その時。 強く、腕を掴まれた。 片足だけ廊下に上げて、また大ちゃんの横顔を見ると、大ちゃんは悲しげに瞳を落としていた。 その表情を見た瞬間に、大ちゃんの言葉を聞くのが怖くなった。 耳を塞ぎたくなるような事を言われる気がして――。 そしてその嫌な予感は、次の大ちゃんの一言で命中する。