あたし達は、カウンターのお姉さんに頭を下げてデパートを後にした。
大ちゃんに連絡を入れて、無事に二人を見つけたと報告する。
電話の向こうの大ちゃんは涙ぐんでいて、『よかった、よかった』と、言葉を絞り出していた。
優斗君と美穂ちゃんは泣きつかれたのか、あたしと恭平の背中で寝息を立てていた。
長い道のりを歩いて不安と闘ってきたんだから、当たり前だよね。
「美穂、重くねぇか?」
日が落ちて星が瞬く夜空の下を、あたし達はゆっくりと歩いていた。
「ううん、平気」
「悪かったな。変な事に巻き込んじまって」
真夏だといっても、夜の風は少し涼しい。
涙が流れた頬の温度を、徐々に下げていってくれる。


