「ちょ、待って!」
二人を追って、入口の前で後ろから肩を掴んだ。
二人は力を入れて、あたしの手を振り払おうとしている。
「二人とも、どうしたの?
どうして、こんなところに来たの?」
あたしは素早く二人の前に回り込み、膝をついて二人の目線に合わせた。
唇を噛みしめる二人は、あたしと目を合わせようとしない。
出入り口で立ち止まるあたし達を、みんなが迷惑そうに避けていく。
夕方は、ここに出入りする人が一層増える。
二人が入って行こうとしたこの場所は、デパートだった。
幼い子供がここまで歩くには、かなりの距離がある。
「なんでこんなところに来たのか、話せる?」
少し口調を和らげて、二人の目を見て問いかけた。
それでも答えない二人の腕を握って、デパートの隅に移動した。


