だけど、どこにも二人の姿はない。
一体、どこに行ってしまったのか――。
段々空のオレンジ色が深まり、足早に行き交う人々の影が長くのび始めた。
街に出てきて、家路を急ぐ人の波に逆らって走る。
足を進めたくても、人々に押されて思うように前へ進めない。
苛立ちが募る中、あたしは反対側の歩道に、小さな二人の姿を見つけた。
小さな手を繋いで、忙しく行き交う大人達の間を歩いている。
「優斗君っ、美穂ちゃんっ!」
ガードレールから身を乗り出し、出せるだけの声を振り絞った。
だけど、車道を走るバスや大型トラックに掻き消され、二人の元へは届かなかった。
焦る気持ちで、足が震える。
二人から目を離さないように、スピードを上げる。
大きな交差点は、なかなか信号が変わらない。
一刻も早く二人の元に駆け寄りたいのに、どんなに待っても変わらない信号に、あたしの苛立ちは増していた。
あたしが信号待ちをしている間に、二人はある所で足を止め、顔を見合わせていた。
視線は二人から逸らさず、携帯を取り出し急いで恭平に連絡を入れた。
電話の向こうの彼は、息も絶え絶えで声にはなっていなかった。
恭平、早く来て――。


