「うまそ。
なに、この上の生クリーム」
「これが超うまいんだよ」
「こんなもんがあるって知らなかった」
「恭平はあんまりお店入らないの?」
「男一人で入れっかよ」
あ、そうか――…。
「でもさ」
あたしは、ココアの上の生クリームをストローでつつきながら、恭平に目を向けた。
「これからはさ、あたしと来れるじゃん」
ぐはっ!
言っちゃったよ。
恥ずかしい言葉。
あたし、超積極的。
「マジうめぇ」
って、聞けよ。
聞こうよ、ここ――…。
心の中でいじけて、ストローからココアを吸う。
すると、甘くてまろやかな味があたしの口の中に広がった。
真夏の強い日差しに奪われた体力が、一瞬にして戻ってくる。


