店内の奥まで恭平と眺めながら歩いて、あたしは一つの眼鏡を見て立ち止まった。
「恭平、これがいい」
まるで自分のものを探しているかのように、あたしのテンションは上がった。
「はぁ? どれ」
ぶっきら棒に言う彼が覗き込んだのと同時に、あたしは彼に眼鏡をつけた。
「ほら、絶対これがいい。
恭平はなんだかんだでこの色が一番似合うね」
あたしが彼にかけたのは、ふちが真っ赤な眼鏡。
赤=恭平の色。
それがあたしの中で、一つの法則になっていた。
鏡をのぞき込んだ恭平も、まんざらでもない様子。
少しは賢く見えるよ、と、また口に出しそうになって飲み込んだ。


