「口、痛いの?」
「……る」
「っえ?何?」
「超、しみる」
そう言って、おもむろにスプライトの缶をあたし押しつけてきた。
「それ、やる」
「え、なんで?」
キョトンとして彼に問いかけると、口の中で舌を動かしていた。
前にも、同じ事してたよね……。
「また、口内炎?」
あたしが聞くと、
「そうかも」
と、顔を歪めたまま立ち上がった。
「最近よく出来るよね。
ほんっとに栄養が偏ってるんじゃないの?」
「そんな事ねぇよ。出されたもんは全部食ってるし」
「野菜も?」
「それは食いもんじゃねぇ」
当たり前というような態度で、恭平が鼻を鳴らした。
あたしが呆れて肩を落としていると、
「それに」
と、恭平が付け足した。
「最近、また目が変なんだよな」
そう言って、ごしごしと目をこすった。
「変って?」
「なんか、ぼやけるっつーか、霞むっつーか」
「前に病院で診てもらったんでしょ?
その時に視力が落ちてるとか言われなかったの?」
「少し落ちてたけど、別に何も言われなかったよ」


