「今日は、サンキュー」
あたしの頭をなでながら、とっておきの笑顔を見せてくれた。
「う、うん」
体中が熱くなる。
前髪で顔を隠しながら、『あっつ。』
体中のほてりをこの日差しのせいにした。
真夏の太陽は、必要以上にあたし達の体力を奪っていく。
お墓を後にするときには、二人の喉はカラカラだった。
「なぁ、なんか飲まねぇ?」
「あたし、コーラがいい」
彼に即答すると、彼はお尻のポケットから財布を取り出し、バス停の近くの自販機に走っていった。
「はい」
彼からコーラを受け取り、冷たい缶を頬に当てる。
上がりきった体温が徐々にさがっていく。
プルタブを勢いよく開けると、プシュっと炭酸の心地良い音が響いた。
「ぷはー、やっぱ夏にはコーラでしょ!」
あたしが腰に手を当てながら言うと、冷ややかな視線があたしに刺さった。
「おまえは、おっさんかよ」
そう言って、恭平もスプライトのプルタブを開ける。
二人の缶から、炭酸の泡が弾けて気持ちがいい。
炭酸を一口口に含むと、さっきまで滝のように流れていた汗が嘘のようにひいていった。


