街から大分離れ、込み合っていた車内が軽くなっていく。
そして、窓の外は高層マンションから、田園風景へと変わっていった。
この前来た時よりも、田んぼや畑の緑が青々としていた。
やっぱり、この田舎の風景が落ち着く。
田舎育ちのあたしには、こういう風景の方が合っているような気がする。
電車を降りて、バスに乗りお墓の前まで行く。
お墓に到着すると、恭平は手際よくバケツと柄杓を取って、両親が眠るお墓へと足を進めていった。
「やっぱ、カラカラになってる」
腰に手を当てながら、溜息交じりに言う。
あたしは、そんな彼の背後から、両親のお墓を覗き込んだ。
先月生けたお花が、しんなりと枯れて下を向いていた。
真夏の太陽が、両親のお墓から水分を全て奪い取っていたんだ。
「さすが、真夏」
近くの木に止まって忙しく鳴く蝉が、この暑さを倍増させる。


