「頑張れよ」


裏門が見えてくると、蔵島恭平はあたしの頭を乱暴に撫でて、自転車にまたがって校内に入っていく。


昨日も、殆ど寝ずに真由に手紙を書いた。


また受け取ってもらえないかもしれないけれど、めげずに真由の靴箱の中に手紙を納めた。



この前席替えをして、あたしの席はグランド側の一番後ろに。


真由の席は、あたしの斜め前の席になったんだ。


運がいいというか、悪いというか。


真由がこんなに近くにいるのに、話しかける事さえ出来なくて、余計辛くなる。


真由が毎日一緒にいるのは、あの時噂を広げた3人組。


真由にどんな事を言ったのかわからないけど、きっと話を大きく言っているに違いない。


3人組は、毎日真由の席の周りに集合しては、賑やかな笑い声をあげている。


それは、あたしに見せつけるようわざと声をあげて笑っているのが、誰の目から見てもわかった。


あたしが真由と喧嘩をして、あたしが毎日1人で過ごしているのをクラスのみんなが知っている。


こういう時に、蔵島恭平に傍にいてほしいなって思うけど、これはあたしの問題だからと自分にきつく言い聞かす。


そうじゃないと、いつまでたっても、自分が成長しないから。