ザーっ――。
彼より先に屋上についたあたしは、鉄のドアを開けてがっくり肩を落とした。
さっきまで降っていなかった雨が、急に土砂降りに。
最悪だ。
これだから梅雨は嫌いなんだよ。
そう思って、静かにドアを閉めようとしたその時。
「雨女」
背後で低い声がした。
睨みつけながら階段に腰掛けると、彼が辺りを見渡した。
「大丈夫だよ。屋上にはそんなに人来ないから」
辺りを見渡し、人目を気にしている彼に声をかける。
「別に、そんな気にしなくていいのに。誰も何も言わないよ」
あたしが言うと、彼は壁に寄り掛かりあたしに視線を落とした。
「よく言うよ。すぐへこむくせに」
言いながら、彼がフンと鼻で笑う。
「噂なんてすぐに消えるよ」
「俺の噂は消えてるか?」
「………」
余計広まってます。
なんて言えずに黙りこんでいると、溜息をつきながらあたしの隣に腰かけた。
「――で?今度は何?」
「体育の時の事」


