「大丈夫でしたか?」
「ええ、わたしは。勝手に滑って湯船におぼれたから」
それはよかったですと言って、髪を拭いてくれる。
濡れたままだと風邪をひくからと、新しい服まで用意してくれた。
もう一度、裸になるのは嫌だけど、仕方ない。腹をくくって着替えることにした。
「それにしても綺麗な御髪ですこと」
「……そうですか?」
改めて髪のことを言われると嫌な気持ちになる。でも、ほめられると嬉しい。
何とも言えない、矛盾した気持ちだ。
「皇室の方とは少し毛色が違うのですね。光り輝くような黄金の色と伺ってましたが、貴女さまのは、淡い光……黎明のような色」
「そんな風に言われたのは初めてです。わたしは、皇族の者ってわけじゃないので」
「じゃあお妃さまってわけですか。まだ公では聞いてはないのに、私はラッキーです」
このまましゃべるといろいろと勘違いされそう。なるべく黙っておこう。
今回、わたしがここに居ることすら、本当は隠さないといけないことなんだろうし。
「これで大丈夫です。後は私たちに任せて、ゆっくりお休みください」
独りになると、自分の馬鹿さ加減に呆れてくる。こんなことになることも想像できたはずなのに、それすら承知で出てきたのだから。
この一か月という短い期間の間でわたしは一体何を見つけられるのだろう。


