ショート・ミステリーズ!短編集その2

彼はもう一度、あの墓地へと向かった。夜明けまでは、まだ時間がある。

墓地の入り口で車を停めた。

周囲に視線を配しながら、中村は車のトランクを開いた。

心臓が止まるかと思った。そこには何も入ってなかったのである。

彼は首を持ち上げた。

腹ばいになった女がタクシーの屋根の上にしがみついていた。

「許さないわ…」