帰りの電車



二人手を握ったまま・・


いつしか眠って・・・




「総くん・・・

総くん・・・。」



隣で彼女が囁いた。



僕は目を開けなかった。


「総・・・くん。

私、降りる駅だから・・・。

総くん・・・。」



そのまま眠った振りをした。



目を開けたら・・・

僕は・・・



泣いてしまいそうだったから・・・。




握った手・・・


離したくなかった。




「さよなら・・・

総くん・・・。」






握った手が離れ



その温もりが消えたころ・・・


僕はそっと目を開けた。





何もかも・・・


消えてしまった。