パリ・ローマ幻想紀行

伊沙子さんの後を追うようにして、ビデオカメラを片手にクーポラの大きな空間から表に出る。柱廊で円形状に囲まれた、とてつもない大きな広場が視界を広げた。ギラギラとした太陽の光が、カメラのフラッシュのように、一瞬視力を狂わせ、汗を噴き出させる。この広場は三十万人以上の人を収容できる広さだ。この柱廊で半円形状に囲まれた様は、あたかもこの広場に信者を掻き集めるかの如くに、両手を広げているようである。この広場に集まった群集に向かって、法王が祝福を与える。どんな祝福なのでしょう。
 クーポラの空間に圧縮されていた人の波が、この広場で膨張し疎らになった。気まぐれに歩く伊沙子さんの前になり、後になりして撮影した。柱廊の上には、聖人の像が立ち並んでいる。遠く霞んで聖人の顔の表情が見えない。