パリ・ローマ幻想紀行

「教皇に気付かれないように描かれた、恥ずかしそうにしている聖母マリアの姿、これもあなたの自画像でしょう」
「そうじゃ、私の見える景色じゃ」
「あなたは、この部屋のレイアウトをされましたか?」
「どうしてじゃ」
「この礼拝堂の祭壇の上に置かれている、十字架の上のイエス像は、この最後の審判の絵の中央の真下に位置しております。遠くから離れてこの絵を見たときに、このイエス像は、最後の審判を下された地獄の真っ只中に位置して見えるのです」
「そうか、そのように見えるか」
「あなたが、この礼拝堂の祭壇をレイアウトして、この祭壇の上にイエスの十字架の像をイメージしたとすれば、これこそあなたの景色に見えます。そうではなく、教皇が後にこの十字架をこの祭壇の上に置いたとしたら、この最後の審判の絵の中のイエスが、別のイエスに審判を下して、地獄へ突き落としたとしか見ることができません。絵の中のイエスは教皇であるとすれば、この十字架のレイアウトは理に叶っていると思います。皇帝がキリスト教徒を弾圧したように、イエスのことばは、権力社会にとっては邪魔であり、そのことばを解く者は罪悪人ですから、地獄へ落とす審判は妥当な審判です。私にはそのように見えます」
「もっともじゃ」