パリ・ローマ幻想紀行

「禁断の木の実です。私にはこのように見えます。禁断の木の実とは権力であり、木の実を食べるということは、権力に背くことであり、楽園とは権力者の楽園であり、楽園から追放されるとは権力を行使することです。そして、人間であること、それ自体が罪であるとは、絶対的な神の存在を認めさせる口実に見えます。この絵を見る限りにおいて、楽園とは綺麗な花が咲き乱れ、天使が舞い、栄耀栄華に自由奔放に生活する権力者の楽園に見えます」
「そのように見えるか」
「あなたが描いているアダムとイブからそのことが見えます。あなたは教皇に気付かれないように、アダムとイブの姿を描いているような気がします。この二人は追放されるのではなく、自分からいさぎよく、このような楽園から逃れているようにも見えます。それはあなた自身のように見えます」
「そうか、そのように見えるか」
「人間であること自体が罪であると言う、原罪の造形化は、<イブの創造>の絵の中に、神が造形化されて描かれており、<アダムの創造>の絵の中に、神の造形化が描かれています。<星と月の創造>、<光の創造>に至っては、あなた自身も表現のしようがないという感じさえ受けます」
「そうか、そのように見えるか」