(4)ミケランジェロとの対話
(i)システィナ天井画
このバチカン宮殿は、歴代の教皇の権力、富、地位によって、気まぐれに、意のままに増改築されたことを忘れてはならない。したがって、宮殿内は迷路の体をなしている。この迷路をさまよって、この美術館のハイライトであるシスティナ礼拝堂へと、人の波が移動する。この人の波は、あたかも、権力、富、地位によって意図的に飾られたバロックの策略に引き寄せられた信者のようでもある。
この迷路をさまよって<最後の審判>へと繋がるのは、私だけの感情かもしれない。
私は、貪欲に歩き回っている伊沙子さんをビデオカメラで追いかけた。カットシーンはただ一回だけのチャンスである。逃すわけにはいかない。伊沙子さんの視線を追って、システィナ天井画をカメラに収めた。また、回りの雑音が消えた。
「あなたは、法王にラオコーンの復元を依頼されて断ったそうですね」
「そうじゃ」
「どうして断ったのですか?」
「あなたなら、見えるはずじゃが」
「姿形は復元できても、その人の心は復元できないというように見えます」
「その通りじゃ」
(i)システィナ天井画
このバチカン宮殿は、歴代の教皇の権力、富、地位によって、気まぐれに、意のままに増改築されたことを忘れてはならない。したがって、宮殿内は迷路の体をなしている。この迷路をさまよって、この美術館のハイライトであるシスティナ礼拝堂へと、人の波が移動する。この人の波は、あたかも、権力、富、地位によって意図的に飾られたバロックの策略に引き寄せられた信者のようでもある。
この迷路をさまよって<最後の審判>へと繋がるのは、私だけの感情かもしれない。
私は、貪欲に歩き回っている伊沙子さんをビデオカメラで追いかけた。カットシーンはただ一回だけのチャンスである。逃すわけにはいかない。伊沙子さんの視線を追って、システィナ天井画をカメラに収めた。また、回りの雑音が消えた。
「あなたは、法王にラオコーンの復元を依頼されて断ったそうですね」
「そうじゃ」
「どうして断ったのですか?」
「あなたなら、見えるはずじゃが」
「姿形は復元できても、その人の心は復元できないというように見えます」
「その通りじゃ」



