パリ・ローマ幻想紀行

「どのように見えるのじゃ」
「あなた自身、罪を犯していると言うことです。十字架にかけられたこと、それが罪なのです。あなたが見ている景色を見せることができないという罪です。人間として、どうすることもできないものがあるという罪です。救えるのは、自分自身であるという罪です。そして、十字架にかけた者、その者を人、すなわち神と認めることです。私にはそのように見えます」
「ホホ、そうか、そのように景色が見えるか」
「はい、そのように見えます。肉体は消えても、あなたのことばは生きています。あなたは生きているのです。死ではないのです。そのように見えます」
「そうか」
「人々は、目には目を、歯には歯を、と命じられています。これに対してあなたは、悪人に手向かってはならない。誰かが右の頬を打てば、左の頬を向けなさいといっています。人々にはあなたのことばが見えなかったようですが、私にはあなたのことばが見えます」
「どのようにじゃ」
「はい、私にはこのような景色に見えます。激しい心の葛藤をせよと言うように見えます。生死を分かつ血みどろの戦いよりも、心に秘めた心の葛藤の方がより激しく見えます。そして、左の頬を向けるように、ごく自然でなければならないと言う景色が浮かびます。あなたが十字架にかけられて、永遠の生命力を持つように」