パリ・ローマ幻想紀行

「権力者が発することば、平伏す者が発することば、私が発することば、あなたが発することば、そのことばは、それぞれの山頂に立って見た景色、つまりことばはその人そのものであるということですね」
「そうじゃ、その通りじゃ」
「権力者は優越感という山の頂に立って眺めた景色を見て、ことばとして発し、平伏す者は、権力者に仕えるという山の頂に立って眺めた景色をことばとして発し、私は、権力者と平伏す者を下界に見て、人間とは何かと言う山の頂に立って見た景色をことばとして発し、あなたは、権力者も平伏す者も、私も、遥か下界に見て、自然界と言う山の頂から見る素晴らしい景色をことばとして表すと言うことですね」
「どうじゃのぉ、優越感と言う山の頂、権力者に仕えるという山の頂、人間とは何かと言う山の頂、自然界と言う山の頂、それぞれに景色が違うじゃろ」
「はい、私にもそのように見えます」
「だけどのぉ、優越感と言う山の頂、権力者に仕えるという山の頂に立っているものには、この景色の違いが解らぬのじゃ。どうじゃ、あなたの山の景色を、この者達に見せてやりたいと思わないか」
「思います」
「あなたの、人間とは何かと言う山に登ること、これが救われると言うことじゃ、これには、心の葛藤しかないのじゃよ、自分自身ということじゃ、葛藤するのは自分自身じゃからのぉ」