パリ・ローマ幻想紀行

「どうすれば、そのような素晴らしい世界が見えるようになるのですか?」
「それはの、心の葛藤をすることじゃよ」
「キリスト教徒のようにですか?」
「私には、そのような者は知らない」
「神を信じて一心にお祈りをするのです」
「何を祈るのじゃ」
「自分を救って欲しいと」
「それは、他人任せじゃの、そこには心の葛藤が見られないのぉ」
「その通りです。ただ一心にお祈りするだけです」
「よいかな、神、即ちあなた自身じゃ、あなた自身が神なのじゃ、救えるのはあなた自身の他にないのじゃよ」
「いいえ、奇跡を起こしてくれる神です」
「そのような神は、この自然界には存在しない。はじめにことばあり、ことばは神なり、ゆえに神はことばなりじゃ」
「どういうことですか?」
「これはのぉ、私が山頂に立って眺めた景色を表したのじゃ」
「景色、即ちことばですね。その人が発することばは、それぞれの山頂に立って眺めているその人が見ている景色ですね。だから、あなたのことばは説明できないと言うことですか?あなたと同じ山に登らなければ解らないと言うことですね」
「そうじゃよ」
「お聞きください、私の山頂からは、このように見えます。権力者もことばを持ち、平伏す者もことばを持っています。私もあなたも、それぞれの山の高さに応じたことばを持っています」
「そうじゃ、その通りじゃ」