お昼を過ぎたころ、私は"あの"喫茶店に来ていた。

真崎くん曰く、第2の家

随分とうろ覚えだったけど、なんとかたどり着くことができた。



「こんにちはー…」



そっと、入口のドアを開ける。

お昼時だからか、ちらほらとお客さんが居て

だけど店員さんはマスター一人だけ。



「あ、いらっしゃい」



マスターは私に気付くと、カウンターの向こう側から笑顔を向けてくれた。



「あっ、あの…真崎くん…来てますか?」

「あー、今日は土曜日だから、来ないと思うよ」



土曜日…って、何かあるのかな?

でも、そっか、今日は来ないのかぁ…

シュンと下を向くと、マスターは相変わらずの笑顔で私に聞く。



「ごめんね?
それより、どうしたのその荷物」



私の両手には、リンゴの入ったビニール袋と、それから真崎くんの靴が入った紙袋。



「あ、あの、えっとよかったらこれ、みんなで食べて下さいっ
こっちは、真崎くんにっ」



荷物をマスターに渡せば、やっぱり笑顔が返ってきた。



「ありがとう、渡しておくよ」