「相原香澄です。
今日からお世話になります。
ご迷惑おかけすると思いますがよろしくお願いします」

今年の新入教職員は三名で、
そのうちの一人が私だった。
無難に挨拶をまとめたものの
まだ頭の中は混乱している。
職員も八割が男性職員だった。

こ・・・こんなところで
私やっていけるのかしら。
だめだめ、負けちゃだめ!香澄
この就職難、
見つかっただけでも
ましと思わなければ。

心の中でそっと泣きながら
私はこぶしを握る。
そうよ、三人中もうひとり女性がいただけでも
ラッキーと思わなきゃ。
話し相手がいるだけでも
きっと違うはず。


最初に連れてきてくれた女先生は
二年の学年主任で高野先生といった。
五十台半ばくらいにみえるが
背は高く男の人にも負けていない印象。
新人は女性が伊藤美弥、
男性が桜庭仁志。
どちらもすらりとした美形だ。
男性は苦手だけれど遠くで見る分には構わない。
桜庭先生は観賞用にさせてもらおうと
さっそく失礼なことを考えてみる。