「えっ?」


「だから、俺のこと知ってるのか?」



どういうことなの?



「えっと、相馬先生かなって思ったけど違うんですよね?」



「相馬・・・先生?」



「そうです、私が高校生のとき新任で来た相馬先生に似てたのでそうかな?って思ったけど違うみたいですねごめんなさい。人違いしちゃって」



「・・・・・・・・・・・」



綺羅がそういうと男性は両手で頭を抱え込んで一言つぶやいた



「思い出せない・・・・・・」



綺羅はこの男性のただならぬ状況にただ見つめるだけしかなかった。



どれくらい経っただろう・・・・・・



綺羅がジョギングを始めたのは朝の6時過ぎ。
今時計を見るともう7時半を回っていた。



周りを見ると、ジョギングをしている人の他に通勤に急ぐ人もちらほら見える。



「あの・・・・私、もう帰りますね」



男性の事が気になったけど、今はそっとしておいたほうが良いと判断し、そのまま男性の返事を聞かずに足早に家路に向かった。