「じゃあ、結婚なんかしないで遊びまくれば良かったのに」

武紀の話はまるで子供。

身体だけが大人になった子供、だった。

「確かに有名になれば女は付いてくる。
けど…結婚しているなら尚更、上手くやれよ」

俺の発言に梓は目を丸くする。

「自分の置かれた環境が不幸だから。
寂しいからって奥さんや子供に当たるのは筋が違う。
それを外で発散させるなら、奥さんにはバレないようにするのが礼儀だよ」

「…し、祥ちゃん?」

梓は警戒しながら俺を見つめる。

「例えば、の話だよ」

そう言うと警戒を解いてくれた。

「俺なら、そうするね」

武紀は顔を赤くして

「お前と俺じゃ、環境が違いすぎるよ!」

感情的に声を荒げた。



俺は凄く冷たい目で彼を見つめて



「俺は本当の両親は知らない」