守ってあげたい 〜伝染〜

目を押さえた真左人が必死の形相で手を伸ばしてくる。それを足で蹴り上げた晶は震える足を必死でうごかし、這うようにその場から離れた。

何度も前に転びそうになりながら露になった胸元を押さえて走る。やっと国道にまでたどり着いた晶は怯えきった表情で初めて後ろを振り返った。

そこには誰もいなかった。すぐ後ろまで真左人が迫ってきていると思った晶は安堵の息を吐き、その場に崩れ落ちる。

手にはさっき握り締めたCDケースの感触がはっきりと残っていた。何が起こったのか理解しようとしても思考回路が麻痺してしまい、ただただ震えが収まらないだけである。

1台のタクシーが通りかかった。