守ってあげたい 〜伝染〜

自分が招いたとはいえ、結果的に2人を殺害してしまった拓海は完全に歯車が狂ってしまった。

晶を守る……俺が晶を守る……俺だけが晶を守る……。

それだけが呪文のように拓海の心を支配した。

隼人に言い寄って晶を困らせた早希も拓海にとっては死んで当然の人間だった。

晶を悲しませたり困らせたり傷つけたりする存在はこの世から抹殺しなければならないのだ。

事実、早希と隼人の密会現場を目撃した帰り道、妹は人目もはばからず涙を流したではないか。

晶を泣かせる人間は許さない。相手が誰であろうと天罰を与える。

繁華街の外国人から30万で購入したリボルヴァーと6発の9ミリ弾。
これがもっと早くに手に入っていれば、晶を襲った男も、もっともっと苦痛を与えながら殺す事が出来たのにと、拓海は後悔した。