守ってあげたい 〜伝染〜

母にとっては思い出したくない過去なのかもしれない。

「そろそろ帰りましょ、晶も拓海や関口君が居たんじゃ休めないわ」

「そうだな、大丈夫か晶?」

「うん……もう帰っちゃうの?」

「僕は残ります。面会時間まで未だあるし」

隼人の言葉に晶はビクッと体を震わせた。密室に隼人と二人きり……?

「じゃあ俺も残ろうかな?」

「野暮な事はやめなさい拓海、関口君がついていてくれるんだから私達は帰りましょ」

「お、お兄ちゃんも居て」

慌てて晶は叫んだ。
少し上ずった口調で語尾が震えるのが自分でもわかる。鼓動がたかなり隼人に聞えるのではないかと本気で心配した。