守ってあげたい 〜伝染〜

「関口さんが北條さんを間一髪突き飛ばして救出したんですよね?車はセンターラインを外れて、歩道を歩いていた北條さんに向ってきたんですか?」

「はい、僕にはそう見えました」

隼人の言葉に晶は汗がにじみ出るのを感じた。

(本当にそうなの隼人?)

「何でもう少し早く気が付かなかったんだ?」

「いいのよ、お兄ちゃん……隼人のおかげで助かったんだから……そうよね隼人?」

「あ、ああ……」

(きっと夢で見た事と現実は別だ……そうに決まってる)

しかし一度湧き上がった疑念と、隼人への恐怖心は拭っても拭いきれない。

夢の中で見た光景では確かに隼人は自分を車に向って突き飛ばした……でも何故?理由が見つからない。