守ってあげたい 〜伝染〜

真澄の家は市内の新興住宅地にある。

まわりは同じような家ばかりだ。

深夜1時をまわった屋外は当然の事ながら人っ子一人居なかった。

ここからタクシーを拾える国道までは歩いて10数分。頭を冷やすにはちょうど良い距離かもしれない。

国道に出たらタクシーが簡単につかまるだろうか?無ければ携帯で呼ぶしかないだろう。

泣いた目が重い。人前で泣いたのは何時以来か……

開業医の一人娘として生まれた早希は幼いころから何不自由なく暮らしてきた。

何不自由なくというのは物質面を指すのか、それとも別の何かを意味するのか今の早希にはわからない。

母親は地元最王手の建設会社の娘である。今でも祖父の会社で役員をして多忙な毎日を送っている。