守ってあげたい 〜伝染〜

本当は拓海に捨てられたくない一心なのだ。ずっと自分だけを見て欲しい。晶も雄大も居ない街にでも行って二人でひっそりと暮らしたかった。

いまごろ書斎で拓海は何を考えているだろう?

さっきの言葉を真に受けて離婚を考えていたらどうしよう。

また昔の生活に戻るのだけは恐怖さえ感じるほど苦痛だ。

あんな実家には帰りたくない。

どうしたら素直になれるのか、どうしたら拓海にもっと愛してもらえるのか……

部屋の中をぐるぐる歩きながら利那は拓海の居なくなる恐怖に震えた。