この家は、とにかく古かった。

床は今にも抜けてしまいそうだし、壁の色ときたら雨にうたれた蝉のぬけがらのようで、汚らしい。

たてつけの悪い戸も、真黒になっているやかんも、湿った紙の匂いも―この家に関するすべてが、とにかく錆びついていてほこり臭くて、私は嫌いだった。





―それなのになんで、こんな家政婦みたいな役を受けちまったんだろうか。