足を出すたびにばしゃりと水が跳ね上がり、僕は眉間に深い皺が寄るのを自覚しつつ、家路を急いだ。
靴の中に入り込んだ水が、ずぶずぶと音を立てて暴れる。
傘をさしていても、肩はしっかり濡れていて――それもまた、不快だった。
歩き始めて三つ目の角をまがり、数えて六つの電灯の下を歩いた。
先に、煌々と灯る外灯の橙色の光を見つけ、息を吐く。
ああやはり、家を出るとき消し忘れてしまっていたのだと思ったが、視界の悪いこの状況ではそれが助かった。
無意識に、歩調が速まる。
もう、すぐそこだ。
……しかし
僕はそこで、視線の先に妙なものを捉えた。
柵の下に――何か、いる。
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