「ほんまに死体が転がったでぇ……もう推理小説なんか持ってくるなや」

瑞希が低い声で呟いた

瑞希は二人が倒れている前に、膝をつくと黙とうをした

「せっかくの旅行だったのにな……もう一生、旅行けないな、お前たち」

瑞希の言葉から、大阪弁が消えた

雨に濡れ、全く動かない二人に瑞希は話かけていた

瑞希の傘は泥の上に転がっている

瑞希の目からは、熱い涙が伝っているはずだ

眼球が赤くなっている

「寒かっただろ
どうしてこんな姿になった?
俺に教えてくれるだろ?」

俺は死体に話しかける瑞希の肩に手を置いた