「なあ……なんか違和感があるんだが…」

「なんや竜ボンも船酔いか?」

「違う…そういうんじゃない」

トイレの水が流れると、瑞希が扉を開けて出てきた

まだ薬を飲んだばかりで、顔色も良いとは言えないが
水が本分ほど減っているペットボトルを片手に、よろよろ歩いている

「沙羅が男っていうのが気になっとる?」

手洗い場で手を洗い、口の中をすすいだ瑞希が口を開いた

「男か」

あのカップルを見て感じた異質さは、そこからきていたのかもしれない

俺は沙羅の姿を思い出すと、頷いた

「なんや、それに気がついたわけやないんや
骨の骨格がもろ男や
喉仏もあったしな
間違いなく性別は男やろな
身体が男でも、心が女性っていう人もおるから
気にする必要はないんやないの?」

「そうだな」

俺は口を引き上げた微笑んだ

「気になりだしたら、止まらん性格やもんなあ
どっかのドラマみたいやん
『細かいことが気になる性格なんです
それが僕の悪い癖……』ってか?」

瑞希が『相棒』のドラマで出てくる杉下右京のマネをする

見事に似てない