廊下に出ると、男2人の向こう側に実花さんと真琴さん、そしてさらに見知らぬ男女2人と制服を着ている船長らしき男が立っていた

「え? これってディナークルーズ船じゃないの?」

見知らぬ女がパンフレットを持って口を開く

「よく似ている船ですが…違います」

「ちょっと…どうしよう
間違って乗っちゃったよ
これってもう出港してるんでしょ?」

女が若干ヒステリックになっているようだ
目を吊りあげて、実花さんに質問している

女の横に立っている男が、肩を抱くと船長を見た

「戻れますか?」

「いえ、申し訳ありませんが……」

船長が暗い表情で首を左右に振った

「もしお時間があるなら、2泊3日で実花島に行きませんか?
旅費は私のほうで持ちますから」

「え? タダなの?」

「はい。もちろんです」

「2泊3日かあ
徹、どうする?」

「沙羅がいいなら」

男はにっこりとほほ笑んだ