「直、あんたなんか悪いことでもしたの?」



おりこうさんの直も、とうとう悪い子になったのかと思った。




「はははは、違いますよ。直さん最近元気なかったんで、心配して勝手に来ただけなんです」



何も言い返せない笑顔。




教師なんて大嫌いだし、信じていない。


この人に心を許す気もないのに。


どうしてなんだろう。




私は、こんな先生に出会いたかったなって思ったんだ。





直とお母さんがいなくなり、私はこの男とふたりで数分話をした。




数分なのに、私は自分の過去を話してしまった。


会ったばかりの見知らぬ人に。